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HOME > ニュース > 2003年 :専門学校でのキャリア・カウンセリング・マインドについて

<専門学校でのキャリア・カウンセリング・マインドについて>

人材開発協会(日本能率協会グループ)
大関 義勝 氏

イメージ‥‥キャリア・カウンセリング

■社会の価値観がずいぶん変わった、変わらざるを得なくなったようです。また、「お約束」も無くなってきました。時を同じくして、キャリア・カウンセリングが脚光を浴びているかに見えます。
■今日は専門学校でのキャリア・カウンセリング・マインドという趣旨のお話をさせていただくのですが教科書のような話しをしても仕方がありませんからまずイメージからご紹介します。
■先生と生徒の会話を落語風にやってみます。

●あのー先生、ちょっといいですか?
→いまか?ウーン今日は水戸黄門があるから早く帰りたいんだけどなぁ。
●ちょっとだけでいいんです。
→ああ、手短にしてくれよ。
●はい。実は今度2年生になるんですけど、このまま勉強していいんだろうかって思うんですよ。
→今になって何言ってんだよ。この学科を選んで入ったんだろうが。それに1年もたってから考えたって遅すぎだよ。他の学科に行きたいのなら再入学しかないんだぞ。
●いえ、学科が自分にあっていないとかいうのでなくて、ただなんとなく、このまま行ってどうなるんだろうと疑問に感じているんですよ。
→疑問なんかないだろうが。コンピータグラフィックの技術者になるために勉強してるんだろう。あのな、人生っていうのはながーい道のりなんだ、まずやると決めた事をやり、失敗や成功を重ねてこそ、自分の価値というのがわかるものなんだぞ。ましてこの分野は時代の先端だぞ。迷っていたんじゃ置いてけぼりをくらうぞ。迷う事はない、しっかり勉強しろ、いいな。
● はい、わかりました。ありがとうございます。(ブスッ)

■いかがですか今の会話。「生徒の何が分かったか」について恐縮ですが隣同士で話し合ってください。また、「生徒はどんな気持ちになっただろうか」についても話し合ってください。

■何にもわからない、生徒としたら何にも聞いてくれないと思うでしょう。とにかく先生の会話時間のほうが長いというのが決定的にダメですね。それに受容・共感的理解でなく人生訓になっている。
では、こんな会話はどうでしょう、、

●あのー先生、ちょっといいですか?
→やあ、君か。まっ、座って、、、、どうした?
●はい。実は今度2年生になるんですけど、このまま勉強していいんだろうかって思うんですよ。
→うんうん、このまま行っていいのかと思っているんだね。
●そうなんですよ先生。
→それで?
●実は勉強についていけないとか、友達ができないとかでなくて、、、、本当にCGを追求していって大丈夫なんだろかって心配してるんですよ。
→うんうん、
●僕は人の2倍勉強できるから結構いい会社に就職できると思っていますけど、しょせん技術屋で終わってしまうのではないかと思うんです。いわゆる使い捨てにされる身分のままで終わってしまうのかなぁという心配なんです。だったらこの1年を無駄にしても将来性のある学科に入学し直したほうがいいと親が言うんです。親はセンスや生まれながらの才能で決まる世界よりも、努力で残って行く世界を選べというんです。
→ウーンなるほど、将来自分が納得できる仕事やステイタスを持てるかどうかと不安に思っているんだね。それに親御さんも君の事を心配してくれているんだね。
●そうなんですよ先生、どうしたらいいですか?
→どうするかを決める前に、いくつか確認しておいたほうがいい事があるね。
●それはなんですか?
→たとえば君は子供の大きくなったら何になりたいと思っていたのか、それはなぜなのか、この学科を選んだときに自分としてどのように判断したのだろうか、それに、どのような状態になっているときに自分らしさが発揮でき、イキイキできるのだろうか、、、このあたりを一緒に考えていったらきっとすっきりできる答えが見つかるとおもうんだけどね。
●ええ、そんなこと考えもしませんでしたけど、変な心理分析でないのなら是非一緒に考えてくれませんか先生。
→ああ、だったら次の授業が終わった後、職員室の脇の会議室で検討しよう。
●ええ、お願いします。(ワクワク)

■二番目の会話は作りものですから実際と違うところがありますけど、要は受け止めて、つまり同情でなく、どんどん言わせてスッキリさせるというのがまずは第一関門なんです。そこまでは徹底的に産業カウンセリングの世界です。次にキャリア・カウンセリングの第一歩である「自己理解をさせること」につなげているという事なんです。


キャリア、キャリアというけれど

■さてさて、このごろ電車の吊革広告にも「キャリア・アツプを目指そう」なんて就職情報誌の広告が目に付きます。じつはキャリアにアップもダウンもありません。昔からの習慣ですと職位が上がることや資格等級が上がる事がキャリア・アップ。でも今はそんな時代じゃない。
■一般事務の人が社労士の資格をとってどこかの事務所に勤務したとしてキャリア・アップなのか。大企業から中堅企業に転職したらキャリア・ダウンなのか、、他人がアップだダウンだとはいえません。キャリアは本人のもの、本人が納得していればいいのです。
■じつは終身雇用、年功給、ベースアップ、昇給といった人事インフラのお約束が無くなってきたのがキャリア・キャリアといわれる由縁です。
■日本は老いも若きもキャリアを考えなくて済んできたのです。もっと言えばキャリアは組織に預けるもの、異動、転勤、登用おまかせでした。でも今になって組織から「預かっていたキャリアを返します。これからは自立と自己責任でやってください。預かっていたキャリアの金利は早期退職優遇金としてお返しします」なんて言われてもとまどいます。
■また、そういう大人たちが、せっせと子供の教育に熱を上げ、人よりいい学校、いい会社、いい給料にさせたくてがむしゃらに働いてきた姿を見て、子供たちは「あんな人にはなりたくない」「なにをしていいかわからない」といっています。
■日本ではキャリアとかキャリア・カウンセリングということばが出回ったのとリストラブームが起きたのがシンクロしてます。このあたりが100年前からやっているアメリカの現状と違うのです。
■長引く平成不況でサラリーマンの前提・お約束が崩壊したことや、リストラが行なわれた事や、求職難になった事、そして子供や学生に目標ばかり与えて自立や自己理解の機会を与えなかった親とか教育システムのまずさがいっきに出てしまったのです。(オペラント条件付け)→モラトリアムの助長
■組織も個人も学校も公的機関も納得できる共通概念がキャリア開発支援なのです。そしてそれを側面支援する人をキャリア・カウンセラーというのです。
■ところで、キャリアとは何か?
■あなたのキャリアは?と聞かれて、はい営業です、とか、エンジニアですという答え。まちがいじゃないけれどその答えではキャリア=職種となります。まして、はい会社員です、なんて言うのはキャリアというより身分みたいなもの。ごく単純化して言いますと「キャリアとは職業人生」。
■私達はとかく「外的キャリア」をイメージするが、これからは「内的キャリア」も考えて欲しい。職種、会社、業界だけでなく、自分の人生の中での職業の意味付け位置づけを考える事が大切なんです。
■これを考えていないからリストラで戸惑ったり、学校でダウンしたり、就職できなくなったりします。いまこそマジメに「自分にとって働く事って何か」を自問して欲しいのです。それを考えさせるのもキャリア・カウンセラーの仕事なんです。


キャリア・カウンセリングの6分野6ステップ

分野
1.公的機関(実際は手続き業務、民間OP会社がアウトソーサー)
2.企業内(出向転籍、アウトプレースメント)
3.再就職支援会社 (実質上ここが多い)
4.職業紹介会社
5.人材派遣会社
6.学校(スクールカウンセラーはいるけど)

ステップ

1.自己理解させる(診断やグループエンカウンターが有効)
2.職業理解させる(ガイダンス、情報提供、適正診断)
3.啓発的経験をさせる(インターンシップなど)
4.カウンセリング
5.実行の援助(納得できる目標を設定させ、計画を支援)
6.追指導・職場適応

今さら/今だから どうしてキャリア・カウンセリングなのか


■ところでキャリアを考えさせる事やキャリア・カウンセリングをすることが本当にいい事なのか。いまさらやってもという意見と、今だからという意見があっていい。答えは5〜6年後。ただ、専門学校にとってキャリア問題は避けて通ることはできないのではないかと思います。

スクールカウンセリングでいいんじゃないの?

■一方でスクール・カウンセリングという仕組が既にあるのだからそれでいいんじゃないのという考えもあるでしょう。スクールカウンセリングは色彩としてクリニカル(臨床的)なカウンセリングといえます。つまりメンタルヘルスに基づき、学業の悩みや友人、家庭などの人間関係や個人事情に発端のある相談です。しかし、キャリア・カウンセリングは最終的には会社・仕事選択、就職ということになりますが、根底は自分にとっての働く意味合いをみつけさせ、必要な場面で職業情報の提供、適正診断、性格診断、自己開発的アプローチ、から履歴書の書き方、面接の指導など広範な知識と相当の職業経験が求められます。
■しかし、スクール・カウンセリングとキャリア・カウンセリングは別物として分離する事はむずかしいのです。
■能力面での悩みが鬱病となって現れる場合や、もともと鬱気質があって表面は進路決定に悩んでいる場合もあります。キャリア・カウンセラーは精神科へのリファー(つなげる)先を知っておかねばなりません。

入学、在校、卒業、、、状況が違うけど


■ところでキャリア・カウンセリングといっても相手や状況によって対応法が違います。
■入学時は「この学校この学科でよかったのだ、安心して勉強できるのだ」と感じさせるキャリア・カウンセリングが必要でしょう。とりあえずキャリアガイダンス研修のようなものと個別カウンセリングをつないで行なう。
■在校時はスクールカウンセリングとの折衷方式をとった悩みへの対処。
■卒業近くなったら、自己分析や希望・ビジョンを持たせてキャリア・カウンセリングステップを行ない、就職希望を絞って最後は面接訓練などのハウツー。
■卒業したらフォローアップ

専門学校、、、、実は

■私、ここで提言したいのです。それは専門学校こそ「キャリア開発学校」だということ。つまりこの先会社が変わろうが、仕事が変わろうが、職業人生に役立つプロトタイプの職業訓練(職業意識訓練)を授けるところが専門学校だからなのです。そしてこの情報教育協会にどうしてハリウッドさんのような一見分野がちがう学校さんが加盟しておられるか。キャリアとは自分で作るものなんです。美容師の技術にCRM、ウェブスキル、アカウウンティングスキルを習得すればオリジナルキャリアの出来上がりなんですね。
■少子化時代はひとつの企業の枠にとらわれず、ひとり一人が意欲と能力を発揮していくような労働市場になります。
■ですから本来、失業率減少というより、就職率向上という考え方が大切。
■企業は定期新人採用というフィルターで選別し、漏れた人を締め出すのでなく、トライアル雇用制度やインターンシップを活用して、相互が吟味できるようにしたほうが将来を見た場合いいはずです。
■専門学校だってリカレント教育(生涯教育)という波をかぶるとしたら、学生個人個人がいままでの学科の枠を超えて履修科目を選択でき「マイ学科」にし将来のキャリアを設計していくことが求められるでしょう。そしてそこにキャリア・カウンセリングが側面支援するわけです。
■だからこそ学生へのキャリア開発支援としてのキャリア・カウンセリング・マインドがこれからの専門学校では極めて大切な概念になるはずです。

官・公・民の動き


■私はこれまで厚生労働省関連でいろいろやってきたました。
1. キャリア・コンサルティング技法体系化
2.資格試験機関の指定
3.雇用能力開発機構でのキャリア・カウンセラー養成
4.指導者レベルの養成計画
5.ハローワークに配置されるキャリア・カウンセラー養成
6.日本経団連のキャリア・センター構想提言
7.そして文部科学省でもキャリア・カウンセリング研究をはじめます。
8.アウトプレースメント会社は全国の県の要請により、キャリア・カウンセラーをあまねくハローワーク管轄エリアで求職支援セミナー講師として駆り出されています。
9.人材開発協会のキャリア・カウンセラー養成講座には今年埼玉県職業訓練校の先生が参加してきます。
■問題は緊急雇用対策だから、、、ということなんです。行く行くは根本キャリア対策にして欲しいのです。経済産業省は人材立国プランを出したようです。
■そして、日本という国にしては画期的と感じたのが、つい先月坂口厚生労働大臣が記者に発表した事です。それは、厚生労働省、経済産業省、文部科学省、内閣府などが総合的に「若年者自立支援プラン」を打ち出すというものです。
■これはドイツで実績のあるデュアルシステムでというもので、未就労高卒者に対して例えば3日間専門学校で勉強し、3日間は企業に実習生としてトライアル雇用されるというもの。午前中学校、午後会社でもいいのです。企業へは雇用費の給付をし、当然専門学校や公的職業訓練校にも委託研修されてくるはずです。6月に具体策を決めるということです。


キャリア・カウンセラーの実態

■さて、キャリア・カウンセラーを5年で5万人にすると坂口労働大臣が国会で発言された結果、厚生労働省が指定試験機関なる制度をつくったものですから、一躍ブームになっています。
■現在数十の団体がキャリア・カウンセラー養成講座を展開しているようですが、人材開発協会が96年に始めて開始してから数年たって数々の団体が参入しました。中には資格ビジネスになるということで、パタパタと作っているところがあります。現在厚生労働省が指定している機関は9団体。
■「人材開発協会」、「日本マンパワー」、「リクルート」、「日本産業カウンセラー協会」、「関西カウンセリングセンター」、「日本DBM、「東京リーガルマインド」、「ライトコンサルタント」、「社会経済生産性本部」です。
■いずれの団体も少しずつ中身やポリシーがちがうので受講者は吟味しないといけません。また通信教育で大量生産する団体と、人材開発協会のようにし25名定員でマジメにコツコツ方式のところがあります。中には年収1200万確保なんていうキャッチコピーで客引きするところも見受けられます。
■はっきり言って資格を取ったからと言って自営はできません。仕事は公的機関を中心に増えてはいますが、殆ど求職者への就業相談です。
■人材開発協への受講者は企業の人事系の人が中心ですが、他団体ではリタイアを目前にした人が資格とありがとうといわれる仕事に魅力を感じて受けに来るようです。しかし、多くの場合想像より難しいようで、それは職業経験、カウンセリング知識、心理学、行動科学、キャリア発達理論、労働法規、経営マインド、職業情報、メンタルヘルスなど極めて広範なものを要求されるからです。
■したがってキャリア・カウンセラーは資格で仕事をするのでなく、資格は入学許可証みたいなもの。実践で学ぶしかありません。つまり、体験だけではお説教。心理学だけじゃ机上の空論ということ。

先生方にキャリア・カウンセリング・マインドを

■私は専門学校にキャリア・カウンセリングルームを絶対設置すべきだとは思っていません。ルームの呼び名も難しいです。カウンセリングというとおかしくなった人の施設と感じる人がまだいます。
■一番学生に接する先生方にキャリア・カウンセリングの専門家になってほしいのではなく、マインドを持ち合わせていただくだけでいいと思っています。
■つまり警察でいえば初動捜査が後々に響くという事なんです。ある段階からは専門家にリファーすればいい。それが学校内であれ外部であれ、生徒さんの自律的キャリア開発にメンタルと情報の両面で支援できているというのがこれからの専門学校の売りになるし個性化になると思うのです。
■これまでの一般的な学校の反省点は、偏差値による進路の振り分けを「進路指導と呼んできたこと。
1.自分は何が好きなのか
2.興味や関心を引く事は何か
3.将来何がしたいのか
4.どんな生き方をしたいのか
5.そのためにはどんな計画が必要か
6.そしてどう行動するか
こういうことを考えさせてこなかった。
■自分らしい生き方の指導としてのキャリア・カウンセリングにしたいもの。つまり自己理解→情報提供→主体的な決定が大切。高校までは教育カリキュラムに入れられませんから、先生方の勉強会の形でキャリア・カウンセリングを学び、ホームルームで実践しようとしています。
■でも専門学校ではそんな縛りはありませんから、先生方にマインドを持っていただいたり、学科横断的もしくは学校横断的キャリア・センターを設置しキャリア開発学校としての特色を出したらいかがでしょうか。
■奇しくも法政大学にこの4月からキャリア・デザイン学部が誕生しました。職業を取り巻く意識は想像以上に変化しています。
■もしかしたら学生自ら自分の学ぶ課目を完全設計し、自分だけの学科にすることだってできるのです。それが自律的キャリア開発の究極の姿なのです。
■今年文部科学省からの研究予算をいただいて先端的教育研究開発事業という枠の中で専門学校におけるキャリア・カウンセリングのあり方研究プロジェクトがスタートできそうです。私もその末席に座らせていただきたいと思っています。
■キャリア・カウンセリングはSARSのような疫病神ではなく、乳酸菌のようなじわじわ効く福の神となる事を切に願っています。

2003.6.6
会場:ホテル・グランドパレス
大関義勝 人材開発協会(日本能率協会グループ)


 

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